東京・人形町で110余年!老舗洋食店の「カツ丼」は、和洋が絶妙に絡み合う一杯
東京都を旅する方におすすめしたい西洋御料理『小春軒』(東京都中央区日本橋人形町1丁目7−9 小春軒)について紹介している記事です。
古き良き日本の表情が残る『人形町』へ
「粋」や「人情」── そんな言葉が個人的にしっくりくる場所『人形町』。この町に浸かっていると自然と心が解けるのは、自分が日本人だからなのか、それとも、単に歳をとったからなのか......。そんなことを考えながら、久々に1軒の洋食屋さんを目指しました。
ちなみに、この界隈が現在の『人形町』という町名になったのは、昭和8年(1933年)のこと。関東大震災以降の区画整理によるものだそうです。
ただ、江戸時代にはすでに「にんぎょうちょう(人形丁)」という呼び方があったようで、それは庶民の娯楽として人気を博していた「人形芝居」に関わる方々が、このエリアに大勢暮らしていたことに由来します。
《参考》人形町商店街協同組合
110余年の歴史を持つ老舗洋食店 ──『小春軒』
西洋御料理『小春軒』の創業は、なんと明治45年!1912年にまで遡ります。
『人形町』という町名が正式に採用される以前から、この地で長らく洋食を提供されてきた、まさに老舗中の老舗!敬意を表さずにはいられません。
旅人におすすめポイント
ホッと落ち着ける、昔ながらの和の空間

真新しい白地の暖簾をくぐると、その先には昔ながらの和の表情が。このクラシカルな店内で腰を下ろし、女将さんの気さくで柔らかい接客に触れれば、心がホッと。
『人形町』というロケーションも相まって、古き良き日本を感じることのできる空間に、自然と居心地の良さを覚えます。
このメニューがおすすめ!
小春軒特製カツ丼(しじみ汁付き)
「カツ丼」は、こちらの名物料理の1つ。初代の味を再現したものだそうで、その唯一無二のルックスがまず目をひきます。
ちなみに、もう1つの名物料理は、“揚げ物フェス”的な装いの「特製盛合せ」。「カツ丼」と「特製盛合せ」 ── どちらをオーダーすべきかすこぶる迷うところですが(育ち盛り真っ只中の方は、無論“両取り”でも良いと思いますけれど)、他ではきっと出会えないであろう「カツ丼」をチョイスしました。
では、いただきます!
丼を彩るのは、ダイスカットのじゃがいもや人参、玉ねぎ。“きっとおいしいだろう茶色”に染まったそれらは、ほどよい輪郭を保ちつつ、口に含めば各々ホクッとした食感を楽しめます。
そして、目玉焼き。黄身はやや固めの半熟状態に仕上がっていました。箸を挿れると、他の具材たちにもたれかかるように、ゆ〜っくりと流れ落ちていきます。
そのドロッとした黄身が流れ落ちた先から掘り起こしたのが、主演の豚カツ。小ぶりにカットされ、個々に衣に包まれています。
ダイスカットな脇役たちよりも、もう一段階濃ゆい茶色に染まったカツたち。そのしっとりしたボディを噛みしめると容易に割け、タレがジワァ〜ッと滲み出てきます。甘さの中に、ほどよいコク。そして、あっさりとした余韻。洋風な装いの中に、やわらかい和の表情が垣間見えるようなパフォーマンスです。
お冷を注ぎ足しに来られた女将さんに、お声を掛けてみました。
筆者「これ、デミグラスベースですか?」
女将さん「そう、正解。デミグラスと割り下をブレンドしてるの」
なるほど、これぞ和洋協奏!老舗洋食屋さんがカツ丼を作るとこうなるのか、と。改めて代々続くお店のこれまでの歴史に思いを巡らせ、その味わいを噛み締めます。
合間に流し込むやや濃いめの「しじみ汁」が、これまたジワァ〜ッと染み入ります。軽やかなカツ丼と、なんて絶妙なコンビネーションだこと。
完食までの時間は短し。おいしいものは儚い ── 今回もまさにそれ、と。
老舗洋食店の特製カツ丼、ぜひお召し上がりくださいませ。
女将さん「ぜひ、またきてくださいね」
筆者「はい!喜んで」
おいしいランチタイムに感謝して。
ごちそうさまでした!
MAP
- 西洋御料理 小春軒
- 日本、〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1丁目7−9 小春軒 GoogleMapで見る
*この記事は2023年2月時点の情報を基に作成しています。
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※本記事は、2023/04/24に公開されたものです。記事内容は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
『人形町』の老舗洋食店で過ごした、心地良きランチタイムのご共有です。