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北陸の魅力を発信!石川・富山の若手料理人が、2日限りのイベントで共演/PR

石川県

石川県の『兼六園 見城亭』で2022年1月21日(金)・22日(土)に開催された「日本博×CLUB RED 日本を旅するダイニング in 北陸」の模様について紹介している記事です。

2022年1月、石川県金沢市にある『兼六園 見城亭』にて、「日本博×CLUB RED 日本を旅するダイニング in 北陸」が開催されました。


「日本博×CLUB RED 日本を旅するダイニング」は、次代を担う料理人のクリエイティブ・ラボ『CLUB RED』が日本全国を”旅”するように各地を巡り、地域の食文化や歴史を学び、生産者らとの出会いをきっかけに、「郷土料理LABO」を通じて学んだ感性で、郷土・風土・味覚を創造し発信していくプロジェクトです。


今回は北陸で活躍する『CLUB RED』に所属する4名の料理人が、北陸の郷土料理の魅力を再発見し、9品の料理をひとつのコースで作り上げるコラボディナーとなりました。

北陸を代表する「かぶら寿司」はフランス料理のアミューズに

江戸時代に加賀藩により金沢港大野で北前船に積み込まれた醤油は各地へ運ばれ、大野は日本の五大醤油生産地として名を馳せました。シェフたちは「北陸LABO」で2021年7月より5回に渡り北陸の伝統工芸や食を学んできましたが、麹を学ぶために大野にある『ヤマト醤油味噌 糀パーク』を訪問されました。


かぶら寿司は本来かぶらの間に鰤を挟み、今回学んだ麹を使った北陸で食べられる郷土料理ですが、トークショーの前には1階の会場にて、アペリティフと共にフランス料理人である砂山利治シェフによる、鰤にではなくフランス料理の代表的な食材であるフォアグラを使ったオリジナリティー溢れるかぶら寿司のおもてなしがありました。


塩麹で1週間漬けてから火を入れたフォアグラはふわっと優しい甘さ。通常かぶら寿司で使われる青蕪ではなく白蕪を使うことでジューシーに仕上がり、とろけるようなテクスチャーで、とても洗練された味わいに。フランス料理という視点から郷土料理を再構築した魅力溢れるアミューズとなっていました。

郷土料理とフランス料理が融合したアミューズは、「北陸LABO」で訪れた大﨑漆器店の大﨑庄右エ門氏の輪島塗の大皿に盛り付けられてふるまわれ、インパクトのある演出でゲストを迎えてくれました。


現代九谷焼で4人のシェフが「八寸」で共演

九谷焼といえば五彩を中心とした優美な色彩で描かれた石川県を代表する伝統工芸ですが、現代における九谷焼は必ずしもその鮮やかな色彩で描かれたものばかりではないようです。


「北陸LABO」で訪問した「森岡工房」の森岡希世子氏の作る白磁シリーズは、新九谷のひとつ。ロクロ成形と焼しめによって作られ、釉薬は使わずに最後に表面をヤスリによる技法で磨き仕上げられていて、そのシンプルながらも美しい白地の表情にシェフたちも心奪われたそうです。


そんな一瞬にして見る者の心を捉える真っ白な現代の九谷焼の器には、4人のシェフによる色鮮やかな料理で彩りを添えました。

日本料理『一本杉川嶋』の川嶋亨シェフは、能登町の烏賊のわたを焼き、焦がしたいしるを加えた「焼わた塩辛」と「サザエの麹漬け岩のり佃煮和え」を。


フランス料理の砂山利治シェフは、フグの子糠漬けのクリームを入れたじゃがいもを練り込んだシュー「馬鈴薯のシューサレ〜フグの子クリーム〜」と菊芋のピューレに鰤と鰆の内臓を合わせた「菊芋のクロケット」。


日本料理『浜多屋 魚津駅前店 hamadaya LABO』の濱多雄太シェフは、いしるにつけて干したゲンゲを大根で包んだ「干し幻魚のなます」と富山県で生産されている最中に平家豆腐のペーストを合わせ赤かぶの漬物などを添えた「平家豆腐の最中」。


イタリア料理『villa della pace』の平田明珠シェフは、熟成させたアオリイカをラルドとおぼろ昆布で巻いた「アオリイカ 背脂 おぼろ昆布」と鴨を内臓ごと米飴といしりでラグーにし、生麩と合わせた「鴨 治部煮 タルトレット 」。


各分野のシェフたちが北陸食材を使いもしくは北陸の郷土料理を、それぞれのジャンルの技術と融合した新たな料理で表現してくれました。

奥能登に古くより伝わる農耕儀礼「あえのこと」に欠かせない輪島塗

「北陸LABO」にて4人のシェフが学び、本企画の大きなテーマとなった奥能登地域(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の農家に古くから伝わる「あえのこと」は、暮れ(12月5日)と春(2月9日)の年に2回行われる農耕儀礼。2009年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。行為伝承によって伝えられてきたものだったため、各家庭によって独自のしきたりも生まれるなどして今日まで受け継がれているようです。


会場では北陸を代表する伝統工芸品である「輪島塗」を使い、神様に供える「あえのこと」の食事がフィーチャーされ、エントランスでも紹介されていました。


食前に開催されたダイニングイベント「文化体験トーク」では、塗師の赤木明登氏による輪島塗を中心とした日本の工芸文化についてのお話がありました。豪華絢爛な印象のある輪島塗ですが、昔のものはもっとシンプルだったとか。


赤木さんの漆器は蒔絵が施されたきらびやかなものではなく、その姿が美しいだけでなく手に持った時に心地良いフォルムで、現代のスタイリッシュな空間にもマッチする生活に取り入れたいものばかり。今回は熊鍋に使われていました。

輪島塗に盛り込まれた「あえのこと」の精神

「あえのこと」で使われるのは、能登近郊でとれた山海の幸。代表的な食材として、海のものは鯛や鰤、山の食材としては米、豆、大根、人参、牛蒡などの根菜が使われます。


今回川嶋シェフは、「北陸LABO」で学んだ大﨑庄右エ門氏の輪島塗で、日本料理の華ともいわれる腕物を作られました。


海の幸にはクエ(メニューにはあえのことで使う甘鯛と表記されていたのですが、当日良物が入手できなかったとのことでクエで代用)を使い、沢野牛蒡は葛豆腐にしモチモチの仕上がりです。口の中に入れると滑らかなテクスチャーでありながら香り高い牛蒡の葛豆腐は、クエにも負けない存在感。人参は短冊切りにしてお椀に仕込み金沢らしく金箔を添え、加賀百万石の風土も感じられる艶やかなお椀に仕立ててくださいました。


また本コースのメインともいえる熊鍋には、トークで登壇された赤木明登氏の輪島塗の器が使われました。トークの中で赤木氏が食べる前に器を手で持ち、その質感なども感じて欲しいというお話をされていましたが、漆器の質感は手にしっくりくるし熱いものでも手で持てます。素晴らしき日本文化を肌で感じることもできました。


砂山シェフによれば、「あえのこと」では鍋を食べることもあるそうで、ロンドンで生まれ埼玉で育った砂山シェフは、北陸の地で食べ最も感動した熊を使い、この料理を作られました。


薄くスライスした熊肉で加賀蓮根・里芋・大根などの季節の根菜を包み、能登阿岸の七面鳥でとった出汁に熊の背脂を溶かし最後に注ぎ入れることで熊肉が絶妙な火入れになるという計算されたお料理は、エストラゴンのオイルを忍ばせた風味が楽しく、添えられた唐川菜で作ったマスタードで味の変化を楽しみながらいただきました。

北陸の冬の味覚「蟹」の登場で会場の熱気は最高潮に!

北陸の冬の味覚といえばやはり「蟹」。

全国から美味しい蟹をめざし北陸を訪れる方も多いと思いますが、加能ガニの身を丁寧に取り出し蟹の甲羅に盛り付けられたカニタワーが登場すると、会場の空気は一気に最高潮に。

ジャンルを越えた若手シェフ4名が、「北陸の冬といえばやっぱり蟹でしょ」とでもいわんばかりに元気に登場し「どうだ」とキメのポーズを取られると、会場の参加者はスマホ片手に大いに盛り上がりました。

炊き立ての土鍋ご飯には、能登の伝統野菜である中島菜を北陸で昔から伝わる調味料いしるに漬けた「いしる漬け」を乗せ、たっぷりの加能ガニの身と蟹味噌を加えて目の前で混ぜてくださいました。


「あえのこと」では、ご夫婦である神様を、お出迎えからお風呂や食事まで、あたかも姿が見えているかのようにもてなし、儀式後は家族みんなでたらふく食事をするという慣わしがあるそうですが、能登というだけあり蟹が登場することもあるそうです。


そんなストーリーを聞くと、私には蟹タワーが神様へのお供えかのごとく見えてきました。ご飯より蟹が多いねと会場から声が上がると、シェフが「はい!蟹ごはんではなく、ごはん蟹です!」と答える一幕も。


「あえのこと」は稲作を守る“田の神様”をお祀りする行事ということで、お米や酒粕を使ったデザートが登場しました。小菓子は金沢ならではで、きんつばをアレンジしたり加賀棒茶を使ったもの。加賀藩の時代より茶道が盛んに行われていた金沢ということもあり、最後は各シェフによりお抹茶が振る舞われました。

今回は料理に合わせて「北陸LABO」で訪問した「農口尚彦研究所」や「桝田酒造店」をはじめ、「黒龍酒造」、「ヴァン・ド・ラ・ボッチ」、「セイズファーム」といった北陸の酒蔵・ワイナリーのお酒を使ったアルコールぺアリングが提供されました。

また、北陸食材で特別に作られたノンアルコールペアリングも登場し、料理がさらに楽しめる趣向になっていました。


日本三名園の一つであり特別名勝に指定されている『兼六園』の桂坂口近くにあり、隈研吾氏により設計された『兼六園茶屋 見城亭』にて、北陸を代表するシェフたちの個性豊かな料理を堪能できただけでなく、北陸の魅力溢れる文化と食に触れることができた、とても実りある企画でした。



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*この記事は2022年1月時点の情報を基に作成しています。

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※本記事は、2022/02/04に公開されたものです。記事内容は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

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