北陸の伝統工芸と多彩な食文化を楽しむ!日本を旅するダイニングin北陸/PR

石川県の『兼六園 見城亭』で2022年1月21日(金)・22日(土)に開催された「日本博×CLUB RED 日本を旅するダイニング in 北陸」の模様について紹介している記事です。

先日開催された 日本博×CLUB REDのコラボイベント『日本を旅するダイニング in 北陸』に参加してきました。
会場となったのは『兼六園』にある老舗のお茶屋で大正2年創業の『見城亭』。こちらは令和元年に建築家の隈研吾氏によってリノベーションされ、1階はカフェ、2階はレストランになっていて、『金沢城』を見ながらゆったりとした時間を過ごせます。

この『日本を旅するダイニング in 北陸』は文化庁が主催していて、日本全国の文化芸術に更なる未来の創生を目指す「日本博」と、若手料理人のコンテスト・RED U-35において優秀な成績をおさめた料理人の集まり「CLUB RED」のコラボイベントです。
北陸では、奥能登に伝わる神事「あえのこと」がテーマとされ、シェフたちは約1年前から北陸三県を巡り、歴史や食文化、地域特産品などを学んだそうです。
*「あえのこと」とは、奥能登の農家に古くから伝わる神事で、田の神様に一年の収穫の感謝を捧げる農耕儀礼のことで、神様ご夫婦を家に迎え入れて、食事や入浴でもてなし、一年の労をねぎらいます。

先ずは1階カフェスペースで「かぶら寿司」と「甘酒」がアミューズとして提供されました。
石川県の郷土料理である「かぶら寿司」ですが、フレンチの砂山シェフの手にかかればフォアグラで!!脂が乗ったフォアグラが糀に漬けたかぶらに挟まれて、あっさりとした味わいに。こんな発想思いつかなかったな~!
「甘酒」を担当されたのは富山県の日本料理人である濱多シェフ。富山県の石黒麹を使い、6時間発酵させてお米の甘みや旨味を引き出したという甘酒は、米の旨味を感じる濃厚な甘酒でした。

1皿目は今回のシェフ4人による八寸から。色とりどりでバラエティーに富んだお料理にテンション上がります!
丸い小鉢「サザエの麹漬け岩のり佃煮和え」、屋根付きの器「焼わた塩辛」は、日本料理の川嶋シェフ。
夏に仕込んだサザエの麹漬けに、荒波の中手作業で採られた岩のりを和えたものは、磯の香りが口いっぱいに広がりサザエの甘みや旨味も濃厚!焼いたイカのわたに焦がしいしるを加えた塩辛も味わい深くてお酒が進みます。
野菜の上に盛られているのは砂山シェフが手掛けたもの。
糠の香りがふわっと香ばしい「馬鈴薯のシューサレ~フグの子クリーム~」と、菊芋のピューレに鰤と鰆の内臓を合わせて揚げた「菊芋のクロケット」魚の内臓も捨てることなく活用するっていいですね!
エディブルフラワーが華やかなお料理は濱多シェフの「干し幻魚のなます」。
富山で幻の魚と呼ばれているゲンゲが使われています!もう1つは「平家豆腐の最中」赤かぶの漬物や切り干し大根がトッピングされて彩りよくかわいい!
手前の2つは平田シェフの金沢の郷土料理を平田流にした「鴨 治部煮 タルトレット」と、平田シェフ定番の「アオリイカ 背脂 おぼろ昆布」。
まさしく北陸とイタリアの食文化の融合です!

お椀はクエ!
20キロほどの大きなものだったそうで、脂が乗ってて身も甘く美味しい!
七尾市の伝統野菜である「沢野牛蒡」を使った葛豆腐は、もっちりとした歯触りで鼻から抜ける牛蒡の香りが心地よかったです。お出汁も上品でクエから流れ出た旨味も最高でした。
(川嶋シェフ提供)

お造りは、今が旬真っただ中の鰤!
藁焼きにして香ばしく香り付けされた鰤にたっぷりの大根おろしで「鰤大根」に。おろしに酢を効かせてあって、あっさりとした味わいに。
(川嶋シェフ提供)
ペアリングで出されたお酒は、富山県・桝田酒造店の「満寿泉一号しぼり」。
目を引く真っ赤な花は「山茶花」の花氷り。一見「椿」と間違えるのですが、椿は散る時に花首からボロっと落ちるので縁起が良くないと...
さすが、戦国武将が造った加賀百万石!色々な事で験を担いでいたんですね!

アワビと見間違えるような大きなバイ貝。
昆布で包み低温で火入れしたものを、グリルで焼いてあります。泡はこんか漬けの糠を入れて炊き上げるという手間さ。富山は昆布文化がすごいですからね~。
昆布の旨味をまとったバイ貝は最高で、しかも、この富山ガラスの器が美しすぎてウットリでした!!
(濱多シェフ提供)

魚料理は「柳鰆」どぶろくの香りを付けてから炭火焼にしたものと、「のとてまり」は鴨の脂でコンフィにして、炭火で焼き上げてあります。
付け合わせは菊芋のペーストと、タプナード。
ジューシーなのとてまりに鴨の脂でコクがプラスされて更にジュワっと美味しい~!
淡白な柳鰆もどぶろくの旨味が加わり、菊芋のとろみのあるペーストと、タプナードがいいアクセントになっていました。
(平田シェフ提供)
「のとてまり」とは、原木しいたけ「のと115」の高級品で、大きさ8センチ以上、厚み3センチ以上、かさの巻き込みが1センチ以上と厳しい規格があるんです。
栽培方法も独特で袋をかぶせて丸く丸く育てていきます。まん丸の姿が手毬に似ていることから「のとてまり」と名前が付きました。
今年の初セリでは1箱6個入りで26万円の高値が付いた、石川県のブランドしいたけなんですよ!

想像していたものをはるかに超えてきた「熊鍋」。
鳥獣が苦手な方もこのビジュアルなら食べれそうですね。ベビーリーフがいっぱいで山をイメージしてあるのかな?
能登の七面鳥のコンソメに熊の背脂を溶かしたスープを目の前でかけて仕上げてくれました。
溶け出す温度が低い熊の脂はサラッとしていて、甘みもコクも強くて美味しい!!
(砂山シェフ提供)
イベント開会時には、この輪島塗の塗師である、赤木明登氏のトークショーもあり、輪島塗や今回のテーマとなっている「あえのこと」のお話も聞かせてくださいました。
この器、めちゃくちゃ手に馴染んで、ほっこりする優しさがありました!!

あっ、遅くなりましたが、愉快なシェフたちのご紹介です(笑)
左から、
石川県七尾市『villa della pace』イタリア料理 平田シェフ。
石川県七尾市『一本杉 川嶋』日本料理 川嶋シェフ。
石川県金沢市『Les Tonnelles budoonoki』フランス料理 砂山シェフ。
富山県魚津市『浜多屋 魚津駅前店 hamadaya LABO』日本料理 濱多シェフ。
どのシェフも料理に対する思いや拘りが強く、食材探しや、器探しなどにも余念がなく、表現される世界観も素晴らしい、勢いのあるシェフたちです!

甲羅にズワイガニの身がそびえ立つ「カニタワー」!!
炊き立ての土鍋ご飯に混ぜて提供してくれました。

能登伝統野菜の「中島菜」のいしる漬けを混ぜたカニご飯は、ご飯よりもカニの方が多い贅沢なご飯。
粕汁には加賀れんこんのすりおろし入り中島菜の歯触りと酸味がいいアクセントになって何杯でも食べれそう~!香の物は半熟エッグ、ビール大根、白菜の浅漬け。
(川嶋シェフ提供)

デザートは「米」お焦げ味のアイスにもち粉のクレープ。
きな粉を混ぜたプラリネや酒粕とココナッツのクリーム。甘酒とベルガモットのジュレだったり、日本酒で作った泡だったりと、米から出来るものを上手に組み合わせてありました!
(砂山シェフ提供)

最後はお抹茶と、金沢の銘菓である「きんつば」を砂山シェフ流にアレンジしたものと、加賀棒茶が香る「番茶フィナンシェ」のお茶菓子で終了となりました。

今回お料理のペアリングとして提供された北陸のお酒たち。
右から
・ESHIKOTO AWA2018 福井県・黒龍酒造(八寸)
・農口尚彦研究所 日本博限定Ver 石川県・農口尚彦研究所(お椀)
・満寿泉 一号しぼり2021 富山県・桝田酒造店(お造り)
・ボッチブラン2020 石川県・vin de la bocchi farm&winery(蒸し焼き物)
・シャルドネ プライベートリザーブ2018 富山県・SAYS FARM(魚)
・満寿泉 大吟醸1998 富山県・桝田酒造店(肉)
・満寿泉 貴醸酒 富山県・桝田酒造店(デザート)
北陸の風土が育んだ素晴らしい食材。
それらの食材から地域になじんだ郷土料理や食文化が生まれ、消滅していく郷土料理も多い中で、今も受け継がれているという奇跡。
食材に付加価値を付け、郷土料理をアレンジして、最高の料理として提供してくださったシェフのみなさんの感性やアイデアは本当に素晴らしかったです。
伝統工芸も見るだけではなく、使って肌で感じて、より匠の技を体感できました。
素晴らしい体験をさせていただき本当にありがとうございました!!
次回はどこで開催されるのか、それも楽しみです。
■こちらでもオススメのお店などを紹介しています!
Instagram:https://www.instagram.com/hitomi.yamane/
*この記事は2022年1月時点の情報を基に作成しています。
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※本記事は、2022/02/04に公開されたものです。記事内容は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。